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ピーズガードラボ
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きれいは汚い、汚いはきれい

  • 投稿日:2016年12月7日

静岡理工科大学 理工学部 物質生命科学科

宮地竜郎 准教授 

昭和62年 東京農業大学農学部農芸化学科卒業
平成元年  千葉大学大学院園芸学研究科農芸化学専攻(修士課程)修了
平成4年  千葉大学大学院自然科学研究科生産科学専攻(博士課程)単位取得満期退学
同年    東京農業大学生物産業学部食品科学科助手
平成9年  同講師
平成14年 英国ウォーリック大学客員研究員(1年間)
平成18年 東京農業大学生物産業学部食品科学科准教授
平成27年 静岡理工科大学理工学部物質生命科学科准教授(食品安全学研究室)
現在に至る

NPO HACCP実践研究会会長(理事長)
日本防菌防黴学会微生物制御システム研究部会運営委員
環境管理技術研究会編集委員

 悪臭は、「人に不快感、嫌悪感を与えるものであって、一般に低濃度、多成分の複合臭気であり、人間の嗅覚に直接訴え生活環境を損なうおそれのあるもの」1)と定義されています。私たちの日常生活において悪臭を感じない日はほとんどありません。しかし、悪臭と聞くと否定的にとらえられがちですが、実は多様な側面を持った物質です。

 腐った食べ物が発する腐敗臭は身近な悪臭の1つですが、腐敗臭を悪臭として感じることの生理的な意義として、悪臭は腐敗した食物の摂取を回避するための危険のシグナルであるとの説が知られています2)。腐敗した食物中には食中毒菌を含めさまざまな腐敗菌の生育が認められ、その摂取により食中毒を発症する可能性があるためです3)。このように、悪臭物質は芳香物質と同様に嗅覚というヒトの尺度に従って分類された物質です。そのため、私たちの環境下で発生する多成分からなる臭気の測定法の1つとして、現在においてもヒトの官能を利用した「三点比較式臭袋法」4)が用いられています。現在、数多くの消臭剤が市販されていますが、消臭剤等の効果の検証が困難な点は、通常の臭気が多成分である点と臭気に対するヒトの嗅覚の閾値(表1)を考慮する必要があるためです。また、悪臭物質は通常比較的低濃度で私たちの生活環境に影響を与えますが、悪臭物質の中には硫化水素や硫化メチルのように高濃度の暴露により健康障害を惹き起こすものもあります。

最も身近な悪臭は食べ物の異臭

 図1はヒトを取り囲む環境から発生する悪臭とその対処を示したものです。悪臭は環境のさまざまな階層から発生していることがわかります。

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はるか昔から、ヒトにとって食物の摂取は生きていくための最大の関心事であり、食べ物の異臭は最も身近な悪臭であったと考えられます。今から約2,500年前の孔子の食生活がうかがえる「論語」の「郷党第十編」中で「臭の悪しきは食らわず。(金谷 治訳注)」の文言が見られ、これは食べ物の腐敗臭を記した最古の記録と言われています。さらに、文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースは著書「神話論理Ⅰ 生のものと火を通したもの(早水洋太郎訳・みすず書房(2006年)」の中で、南北アメリカ大陸の先住民族の813の口伝神話を解析しています。「腐った木の甘い呼び声には耳を貸さないよう気をつけなければならない。」等の口伝に認められるように、神話から「生ものと火を通したもの」や「新鮮なものと腐ったもの」などの二項対立概念を抽出し神話の構造分析を行っています。神話が明文化される以前の人類の共通の記憶であるとすると、人類と腐敗(=腐敗臭)との結びつきの深さを知ることができます。

日本人はにおいに敏感と言われている

 食品は異臭を伴う腐敗により不可食化するため、その取扱いは食品衛生法等の法的規制を受け、食品メーカーにおいては自主衛生管理が行われています5)。今日、食育教育は主として食文化やフードチェーン(農場から食卓まで)等の理解の涵養を目的として実施されていますが、さまざまな正常な食品の風味を覚え、どの様な風味の食べ物が安全なのか、あるいは危険なのかに関する教育も食育の大切なテーマの1つです。

ヒトは社会的動物と言われているように、自己と他者との関係性の上に我々は日常生活を送っています。そのため、仏事に用いる香やヨーロッパで発達した香水は当初は消臭目的であった事が知られています6)。日本人はにおいに敏感であるとよく言われるように、わが国では体臭、口臭7)や便臭の予防・消臭として、様々なデオドラント用品が市販されています。さらに、衣類を含めた生活空間の悪臭除去には消臭剤が用いられています。一方、産業界に目を投じると、食品工場、製紙工場、畜舎、し尿処理場、下水処理場などで悪臭が発生しており、これらは悪臭防止法により規制され消臭対策が行われています8-10)。 以上の様に、悪臭はヒトを取り囲む様々な環境中より発生し私たちを悩ませています。食中毒等が扱われる「衛生問題」と大気汚染等が論じられる「環境問題」は、ともにヒトと環境の関係から生じる問題であることから、広い意味での環境問題として取り扱うことができます11-13)。悪臭に関しても、衛生問題として扱われる食品の腐敗臭も環境問題である食品工場から排出される悪臭も、悪臭が発生する環境の階層が異なっているのみで同一の問題と考えられます。

1)加藤龍夫ら,悪臭の機器測定,講談社,1984

2)川崎通昭・堀内哲嗣郎,嗅覚とにおい物質,(社)臭気対策研究協会,1998

3)宮地竜郎,食べ物が腐るということ,安全のあかりとあかし,4号,p19-22,NPO法人・安全学研究所,2007

4)境 博成・宮地竜郎,牛糞尿処理水の消臭効果,環境教育研究,4,149-152,2001

5)宮地竜郎,食経験と腐敗,環境管理技術研究会誌,23,23-28,2008

6)特集―香の創造―,におい・かおり環境学会誌,36,P180-204,2005

7)特集―においと健康―,におい・かおり環境学会誌,36,P249-279,2005

8)ハンドブック悪臭防止法(5訂版),におい・かおり環境協会,ぎょうせい,2010

9)石黒辰吉,臭気対策の基礎と実際,オーム社出版局,1997

10)石黒辰吉,臭気の測定と対策技術,オーム社出版局,2002

11)宮地竜郎,衛生問題と環境問題,安全のあかりとあかし,1号,p11-12,NPO法人・安全学研究所,2005

12)宮地竜郎,食の安全・安心とその確保―衛生問題と環境問題を併せて,大学時報,第338・339合併号,p76-81,(社)日本私立大学連盟,2011

13)宮地竜郎,悪臭研究のすすめ, COSME TECH JAPAN, 2, p1450-1549, 2012

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